2011年3月25日金曜日

3月20日。

11日から18日は、ほぼ家に缶詰状態。
週明けからは、子供達の初登園、初登校(引越し以来、空き待ちでずっと家に居た)を控えていたので、
制服などの買い出しで週末は久し振りに買い物に出掛けた。

様々な人種が行き交うロンドンの超大型ショッピングモール。
あらゆるブランド店が並び、物で溢れていた。
被災地とのギャップの余りの激しさに、一瞬頭がボーッとなった。

買い物からの帰り、吸い寄せられるように入った近所の寿司店。
扉を開けると、
「今日はテーブルが満席で、カウンター席のみになります」
と言われ、家族4人カウンターに並んで座った。

店内を見回すと、来店客は半分以上が現地の人々だった。

黙々と寿司を握る板前さん。
別のカウンター席には、単身赴任者らしき日本人男性が、携帯電話の画面を見ながら定食を食べている。

初めて寿司店のカウンター席に座った子供達は、魚の並んだショーケース越しに板前さんの包丁捌きを食い入るように見ながら、
「うわ〜!お魚切るの上手だね〜!!」
などと無邪気に話しかける。
無表情だった板前さんの顔が一瞬ほころんだ。

私達と同郷の板前さん。
関西訛りで交わした会話の中に、地震の話題が出てくることは最後までなかった。

カウンター奥の古いラジカセから流れるメロディーは、70年代のヒット曲『あなた』
福島の郡山支社に勤務していた時、会社の上司や同僚と連れ立って行ったカラオケでよく歌った曲だ。
私が生まれる前のヒット曲が、いつの間にか私にとっても懐メロになっていた。

店内には、温かくて平和な空気が流れていた。
まるで二つの故郷に帰って来たような気分だった。

月曜日ー。
初めて登校したイギリス現地校で、息子はクラスメイト達から大歓迎を受けた。
どうやら、事前に先生が息子の名前や出身などを生徒達に説明してくれていたらしい。
クラスに日本人は息子ただ一人。
様々な人種の子供達が集まるこの学校は、外国人の生徒の受け入れ態勢も整っている様子で、
息子が新しい環境にスムーズに馴染めるよう、一つ上の学年から日本人の男の子を引き入れ、
暫く息子の傍でサポートをするよう促してくれた。


何気ない日常が、今、本当に幸せで有り難く感じられる。
生かして頂いていることに感謝して、東日本大震災で亡くなった方達の分も、精一杯生きたい。