2014年5月31日土曜日

ウィリアム・モリスの赤い家。


19世紀のアーツ・アンド・クラフツ運動でその名を馳せた、モダン・デザインの父・William Morris(ウィリアム・モリス)。
ここは、モリスが新婚当時住んでいたRed House(レッドハウス)です。
目印は、ロンドンで著名人が住んだ家に掲げられるブルー・プラーク。
これがなければ気付かない程、住宅街の中にひっそりと門を構えています。





緑豊かな小道を進んでゆくと、赤レンガ造りの立派な邸宅に辿り着きます。
現在はナショナル・トラストに管理されていて、予約をするとガイドさんが中を案内してくれます。

建築は、Philip Webb(フィリップ・ウェブ)によるもの。
丸い窓やゴシックアーチ、とんがり屋根――。ロンドン市内には古い建造物が沢山残されていますが、このような個性的な造りの家を見たのは初めてです。
今見ると「古い家」という印象ですが、その当時の人々からすればかなりモダンな造りだったことと思います。



一階ダイニングルーム。
中も150年前の赴きがほぼそのまま残されています。
ダイニングテーブルは、この家をの設計を手掛けたフィリップ・ウェッブの作品。
壁紙は勿論、MORRIS & Coです。




ステンドグラスは、ラファエル前派の画家Edward Burne Jones(エドワード・バーン・ジョーンズ)の作品。






この白い棚の上段部分には、元々三枚のパネルが嵌め込まれており、そこにはダンテ・ガブリエル・ロセッティによる絵(※詩人のダンテ・アリギエーリとベアトリーチェを題材にしたもの)が描かれていたのですが、現在はテート・ブリテンカナダ国立美術館所蔵(各美術館のリンクをクリックすると絵がご覧になれます)となっています。




バーン・ジョーンズによる壁画。





最近になって、この家の中で新たに発見された壁画。
後の住人によって白で覆われてしまったのですが、現在もそれを剥がす作業が行われているところです。
(※ガイドの許可を得てノーフラッシュで撮影しています)



こちらはアダムとイヴがモチーフにされています。


この家全体が、ラファエル前派の芸術家達が結集して作り上げた芸術品ともいえるレッドハウス。
モリスが多くのインスピレーションを得たと思われる屋外の庭も素晴らしく、かなりの見応えでした。